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学んだ事を生かしたいからです。
この夢を実現する為に今日も練習に向かいます。「こんにちは」と大きな声を出し一礼し体育館に入ります。
私は剣道を通して自分を磨き、心を成長させてひたすら目標に向かって走り続けたいです。

 

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『負けない!!』
青森県青森市
月影塾剣道場
中学一年生

 

山上麻衣

 

「え!?剣道部がない、去年まであったのに。」部活紹介での事です。中学校に入ったら、剣道部に入部しようと思っていたのに。
「どうして?」
剣道部に一人在籍していた人が転校した為、廃部になったそうです。先生に、「剣道をやりたいのですが、今から部はつくってもらえないんですか?」と相談しました。
「各部活の顧問が決まってしまったからね。」と先生は、残念そうにおっしゃいました。剣道部のないショック、そこから私の中学生生活が始まりました。
何か、部活に入らなければと思った私は、考えた末、少し興味があった山岳部に入部しました。山岳部では、体力作りの為必ずランニングをし、腕立伏せや腹筋運動をします。でも、五年間剣道の稽古を続けてきた私には、それがつらく苦しいとは感じられません。本当のつらさを感じたのは、剣道で知り合った友達が、中体連の試合に出ているのを見て自分が参加できなかったことです。
そういえば、小学校四年生の時、とてもつらい体験をしたことがあります。『仲間はずれ』です。それは、突然のことでした。ある日、仲のいい友達が私に口を聞いてくれなくなったのです。私にとって初めての経験だったので大変悩みました。このままではいけないと思い、私なりにいろいろ努力をしましたが、相手にしてもらえませんでした。(みんな友達だと思っていたのに。)そう思うと、寂しさと悲しみがこみあげてきました。
その事を両親に、相談してみると、驚いたことに父も中学生時代同じ体験をしだそうです。でも父は、バレーボールに打ち込んでいたので、その事で悩み考える事はなかったそうです。父のアドバイスから私もそんな事に「負けない。」と、剣道に無我夢中で打ち込みました。すると、不思議なことにとても心がすっきりしました。もし、剣道をやっていなかったら、もっと悩み苦しんでいたことと思います。厳しい剣道の稽古から学んだ精神力に救われたのだと思いました。その時から、自分がされていやな事は、決して人にしてはいけないと、思うようになりました。つらい時、私を救ってくれた剣道。廃部になってしまった剣道部。そのことを時々考えながら、中学生生活を送っていました。
そんな時、授業で先生が、本田技研の創始者である本田宗一郎さんの話をしてくれました。私は、とてもすばらしい人だと思いました。自分のやりたい事に信念をもち、苦しい時には、とてつもなく大きな目標を掲げ、それをやり遂げた人だったからです。その話を聞いた時から、私は(剣道部を復活させてみよう。)と考えるようになりまし

 

 

 

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